FITのうまみで膨らむ「太陽光利権」、始まった経済産業省「自業自得」のバブル退治
2013-12-25


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膨らむ「太陽光利権」 始まったバブル退治 (画像引用)
2013/12/24 7:00日本経済新聞 電子版
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 広い土地に発電用のパネルを敷けば、お金がチャリンチャリンと懐に――。うまみが大きな商売として脚光を浴びた太陽光発電に曲がり角が訪れた。原発事故をきっかけに政府が普及を後押ししてきたが、濡れ手で粟(あわ)を期待して暗躍する事業者があふれれば、いずれ電気料金に跳ね返る。ブームに火をつけた当の経済産業省は、バブル退治に動き出した。

■太陽光の「バブル紳士」も

 雑居ビルの事務所で取材中、そのオーナー社長の携帯電話に何度も電話がかかってきた。匿名を条件に話してくれた社長によると、電話をかけてきた相手は、太陽光発電所用地のブローカー。「社長が持っているゴルフ場の土地を買いたい」と何度も連絡がきているという。

 このゴルフ場は山陰地方の山あいにある。大都市圏から遠く、客足は遠のく一方だった。利益を生まないゴルフ場を手放したくても、これまで興味を示してくる会社は1社もない。ところが、昨年2月、どこで調べたのか、名前も知らない男が突然、事務所に連絡をよこしてきた。

 「太陽光発電所の用地としてゴルフ場を買いたい」

 敷地が広く、平らなゴルフ場の敷地は、大規模な太陽光発電所にうってつけだったのだ。その後は千客万来。この社長が面会したブローカーの名刺は20枚を超えた。バブル時代の「バブル紳士」のように、うさんくさそうなブローカーも混ざっていそうだと思っても、今まで門前払いしてこなかったという。

 取材中にかかってきた電話を切ると、この社長は「土地が売れるなら、先が見えないゴルフ場を細々と続けるよりまし。渡りに船だよ」と苦笑いした。

 このゴルフ場だけではない。熊本県のある自治体の担当者は「山の中の牧場を法外な値段で買おうとする『地上げ屋』が突然、出現した。怪しい話には注意するように喚起している」という。

 誰も見向きもしなかった土地を、売れる土地に変えた太陽光バブル。発生源を探ると、経産省が打ち出した再生可能エネルギーの普及促進策にたどりつく。昨年7月にスタートした「再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度」が、太陽光発電ブームに火をつけた。

■1500万円の元手で4000万円稼ぐ

 制度のポイントは、太陽光などの再エネで発電した電力を「もうけが出る値段」で買い取ること。発電事業者にアメを与えて、普及スピードを一気にあげようとしているわけだ。制度導入が真剣に議論されたタイミングは、東京電力福島第1原子力発電所事故が起きた後。原発への不信が強まる一方、再エネへの期待が高まっていたころだった。

 当時の首相、菅直人は「(買い取り法案を)通さないと政治家としての責任を果たしたことにならない」と訴え、ソフトバンク社長の孫正義は、それに呼応してすぐさま動いた。孫は全国の知事を集め、太陽光など自然エネルギー普及のための組織までつくった。

 しかし、環境に優しいエネルギー社会をつくろう、という理念だけで再エネ、とくに太陽光発電所の計画が増えたわけではない。ブームに火をつけたのは買い取り制度が生んだうまみだった。

 買い取り制度は、再エネでつくる電気を、東電など大手電力会社が一定の価格で買い取る仕組みだ。大型の「メガソーラー」など太陽光発電所の場合、初年度に認められた買い取り額は1キロワット時あたり税抜きで40円。風力や地熱などでつくった電力の買い取り額よりも高く、一般家庭が払う電気料金の単価(20円台)すら大きく上回る。


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