<関連記事引用>
▼首相、中国の国防費増を警戒 原発再稼働には意欲
2011/10/31 5:00
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野田佳彦首相は30日までに、英フィナンシャル・タイムズ紙とのインタビューで「残念なことだが中国が不透明な形で国防費を増やし続けている」と中国の国防費増大に警戒感を示した。「我が国周辺の安全保障環境の中で不確実性が出ている」と指摘。東シナ海などで活動を活発化させていることも「国際法やルールに基づいた対応を中国に求める」と語った。
円高の進行には「必要であれば断固たる措置を取る」と強調。運転停止中の原子力発電所は「厳しく(チェックを)やりながらも再稼働できるものがそれなりの数になってくれればよい」と再稼働への意欲を示した。
欧州の債務問題では「危機に巻き込まれそうな国が出てきた時に国際通貨基金(IMF)が融資できる制度を提案する」と指摘。来月の20カ国・地域(G20)首脳会議で消費税増税などで2020年度までに基礎的財政収支を黒字化する方針を説明するとも述べた。
過去の買収案件で不透明な報酬の支払いが指摘されているオリンパスについては「一つの企業のことが、日本の資本主義のルールと一般論で広げて見られるのは困る」と懸念を表明。第三者委員会による事実関係の解明を同社に求めた。
▼野田政権:外交のパイプ細く…日米同盟傾斜、対中けん制
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10月7日、首相官邸5階の首相応接室。民主党の荒井聡元国家戦略担当相、公明党の佐藤茂樹衆院議員、自民党の衆院議員秘書、石原信雄元官房副長官らが、野田佳彦首相と向き合っていた。
代表して石原氏が、昨年9月に尖閣諸島沖で中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突した事件を取り上げ、首相にこう迫った。
「日本政府がいったん強硬路線を取ろうとしたのは、中国側の意図を読み違えたからではないか。当時、日中のセカンドトラックの関係者から『中国首脳は最終的に武力衝突も辞さずという決断をしている。日本政府にそれだけの覚悟があるのか』との話が伝わってきた。これではいけないと思って、当時の政府首脳にも直言した」
「セカンドトラック」とは、政府間の外交交渉(ファーストトラック)に対し、議員外交や有識者など民間レベルの交流を指す。石原氏らは、08年から中国軍や共産党関係者と事務次官経験者らとの間で年1回程度、北京と東京で「日中安全保障問題研究会議」を交互開催してきた。
民主党の閣僚経験者が「相手国と何本も交渉パイプを持つのが外交の基本。しかし正直、自民党政権の方がたけている」と認めるほど、民主党政権の外交パイプは細い。「尖閣事件での双方の対応に悪影響を与えたのではないか」との懸念から研究会への支援を訴えた石原氏らに、首相は「協力します」と言葉少なに語った。
話は、政府の外交機能強化に向けた「日本版NSC(国家安全保障会議)」創設にも及んだが、首相は「いろいろ懸案を抱えており、手を広げたくない」と述べるにとどめた。
◇中国は「包囲」懸念
東シナ海や南シナ海、太平洋への進出を強める中国と野田政権はどう向き合うのか。ここにきて鮮明になっているのが、日米同盟への傾斜だ。
その一つが、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉参加問題。「表立っては言えないが、TPPは対中戦略の一環」と政府関係者は口をそろえる。アジア太平洋で自由貿易の仕組みを日米主導で作ることで、中国をけん制し、巻き込んでいく狙いがある。
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