「勝てぬなら ぶつけてやろう パンダさん」 アキノに学ぶ南シナ海の泳ぎ方
2011-09-18


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日本訪問を控えるフィリピンのアキノ大統領の発言がとにかくおもしろい。

経済協力を餌にフィリピンを黙らせようとする中国。この中国をうまく利用しながら、「領土問題は(経済問題とは)別」との認識を示すアキノ大統領。中国と対立する南シナ海の領有権問題について、引き続き権利を主張していく考えを強調。

「中国とボクシングをすれば負ける。我々は大国(中国)に勝ち目はない」と語るアキノ大統領。ではどうするか。大国には大国をぶつけるしかない。そのために「日本や米国、ロシアなどと連携を探る」と言明。日経が指摘しているように東シナ海の権益で対立をはらむ日本と、中国の海洋進出を警戒する米ロの3カ国を後ろ盾として中国に対峙しようという戦略。

ロシアは漁夫の利を狙って米中の狭間を器用に泳ぎ回ることが目に見えている。よって、頼りになるのはやはり米国。米国のこの地域の関与を維持するために「日本はしっかりしなさいよ」と。

そこで飛び出したのが「日本が輸入する石油の多くは、南シナ海を通り、航行の自由は日本にも重要だ」発言。

中東からインド洋、 マラッカ海峡を経て、南シナ海を通る日本のシーレーン。脱原発でますますその重要性は高まる。このため南シナ海問題は日本にとっても他人事ではない。米国を伴って関与を強めて欲しいと迫るフィリピン。

このシーレーン周辺の国々が恐れている事態がある。それはこの地域からの米軍の撤退。

そもそも米国はこのシーレーンに依存していない。依存しているのは、日本、韓国、それに中国。米国は世界の警察官として見張ってきただけ。

この先、米国の財政問題が深刻化すれば、「もうこの地域からも出ていきます」と言いかねない。南シナ海に嵐を呼び込むために一時的に撤退するというシナリオもおそらく存在。

その一方で中国の軍事力増強に伴う海洋進出。その中国が米国に代わって世界の警察官を目指すとは思えない。その巨体を支えるために資源ガブ飲み。そうなると当然困るのは日本と韓国。

日本に必要なのはオーストラリア目線。日米豪関係を強化しながら、マラッカ海峡と南シナ海を見守るように遠方沖合から中国と対峙。これぞまさにオフショア・バランシング。

当面はやる気満々のベトナムとインドの応援団に徹した方がいいだろう。


<関連記事引用>

▼比大統領「日米ロと連携」 南シナ海問題
2011/9/17 1:27
[URL]

 【マニラ=遠西俊洋】25〜28日の日本訪問を控えるフィリピンのアキノ大統領は16日、大統領府で日本経済新聞など日本メディアと記者会見した。中国などと領有権を争う南シナ海問題について「日本や米国、ロシアなどと連携を探る」と言明。ベトナムなど東南アジアの関係国に日米ロを加えた枠組みで中国への圧力強化を探る構えを示した。日本との経済関係では、国内のインフラ整備事業への日本企業の参加を強く促した。

 南シナ海問題では「中国とボクシング(武力紛争)をすれば負ける。2国間解決ではなく、多国間の法的枠組みが必要だ」と指摘した。11月の東アジア首脳会議(サミット)には、東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓など16カ国に米ロが新たに加わる。アキノ氏の発言はこれを意識し、中国との間で東シナ海の権益で対立をはらむ日本と、中国の海洋進出を警戒する米ロの3カ国を後ろ盾として中国に対峙しようという戦略を示唆したものだ。

 7月のASEAN地域フォーラム(ARF)では、比越両国が中国の挑発を抑える法的枠組みを提唱しながら「2国間解決」を主張する中国を崩せずに終わった。アキノ氏は8月下旬に自ら中国を訪問するなど一時的に対立激化を避けようとする動きも見せたが、記者会見では南シナ海を巡る考え方は「何も変わっていない」と強調。東アジアサミットでの巻き返しにかける姿勢もにじませた。


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