2011-06-04
小谷はこれを“頭脳流出”とは考えない。「人脈を広げるだけでなく、日本の研究を紹介し、それをもとに海外から人材を呼ぶことができる」。交流が活力につながると主張する。
4月訪日したオーストラリア首相のジュリア・ギラード(49)が批判したのも閉じ籠もりだ。「開かれた社会インフラなど改革が貿易拡大の利益を生む」。訴えるのは、市場開放と規制緩和で海外から投資や人材を呼び込む「開国」の勧めだ。
災害きっかけに
米上院議員のダニエル・イノウエ(86)も5月30日都内のシンポジウムで「災害はチャンスでもある」と力説した。ギラードやイノウエには、復興のため土地利用を自由化する特区構想など規制改革の動きが日本で高まるとの読みがある。その先には、米豪が主導する環太平洋経済連携協定(TPP)に日本を取り込み、台頭する中国に対抗しようという戦略がある。
シンポジウムで三菱商事会長の小島順彦(69)は「日米で世界の国内総生産(GDP)の3割強を占める。TPPは意義ある枠組みになる」と応じた。が、首相の菅直人(64)は判断を先送りするばかりか、自らの退陣を巡り混乱を招いた。交渉事が進まないことにイノウエは「堪忍袋の緒が切れることもある」と警告、日本が将来図を示せないでいることを憂慮する。
復興は試練だが、魅力ある投資先と評価されれば、ヒト、モノ、カネは集まる。震災が日本に迫る選択。足踏みは許されない。=敬称略
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