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米内務省傘下の研究機関である米国地質調査所(United States Geological Survey,USGS)は、世界の石油・天然ガス資源に関する情報を最も多く持っていると目されている機関です。
2007年9月7日には地球温暖化による海氷の減少により2050年までにホッキョクグマの生息数が現在の3分の1になるとの推計を発表しました。
先月7月23日、USGSがついに北極圏の資源争奪戦を一気に加速させる重大な発表を行います。
ブッシュ大統領は領海内の沖合海底油田開発を禁止する大統領令を撤廃したと発表したのが7月14日ですから、その9日後ということになります。
おそらくブッシュが海底油田採掘の禁止を解除するよう議会に求めた6月18日以前に、このUSGSリポートがブッシュとその取り巻きたちの手元に届いていたのでしょう。
さて、そのタイトルは・・・
『北極の900億バレルの石油と1670兆立方フィートの天然ガス』
冒頭には「本日公表されたUGSの評価は、初めて一般公開される北極圏の石油埋蔵量推計である。」と書かれています。確かに公式なものとしては初めてかもしれない。
それにしても、900億バレルとか1670兆立方フィートと言われても、普通の人にはわからないよね。日本の2007年の原油総輸入量は15億216万バレルですから、約60年分あるわけです。
「これらの資源は、世界中の未開発かつ可採資源のおよそ22パーセントを占める。北極圏には世界の未開発の石油のおよそ13%、天然ガスの30%、天然ガス液(NGL)の20%があり、その約84%の推定資源が沖合にあると予測される」と書かれています。
そして、ホッキョクグマを意識したかのようにUSGSのディレクターであるマーク・マイヤーズ(Mark Myers)はこんなことを語っております。
「我々の将来の石油やガスの消費、それに関連して、危機に瀕する生物種や原住民、それに我々の惑星の健康状態を決めつける前に、我々はそこに何があるのかを知っておく必要があるのだ。」
続けて、「この評価によって、全世界がこうした難しい決定を下すことができるように、我々は世界中の人々に同じ情報を提供しているのだ。」と。
このマイヤーズ発言はあくまでも前置き。ここからいよいよ核心部分に入ります。
「未開発の石油資源の半分以上は3箇所の鉱区に集中している」
その3箇所とは「アークティック・アラスカ(Arctic Alaska ,画像のAA)とアメラシア・ベイシン(the Amerasia Basin ,画像のAM)とイースト・グリーンランド・リフト・ベイシンズ(the East Greenland Rift Basins ,画像のEGR)」とのこと。
そして、「未開発の天然ガスは石油の3倍も豊富にあると推定される」としながら、「未開発の天然ガスの70%以上が、これまた3箇所の鉱区に集中しているのだ。」と。
その3箇所とは「ウエスト・シベリアン・ベイシン(the West Siberian Basin ,画像のWSB)とイースト・バレンツ・ベイシンズ(the East Barents Basins ,画像のEBB)とアークティック・アラスカ(Arctic Alaska ,画像のAA)」とのことです。
石油も天然ガスもホッキョクグマが生息するアラスカに集中しているからこそ、マイヤーズがわざわざ前置きしたわけです。
画像を見れば、アークティック・アラスカの位置がわかると思います。また、どこに何がどれ程あるかがわかるようにUSGS資料を編集しておきました。(クリックすると画像が大きくなります)
このUSGS評価が共和党の政策と見事に合致したわけです。そして、ブッシュ政権は本腰で取り掛かり始めた。
確かに公式な評価としては初めてかもしれませんが、やはり政治的な意図も含まれていると考えるべきでしょう。よって、すべてを鵜呑みにするのは危険ですね。
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