「12羽のカラス」は陰の極を示すのか、カラスが眺める株式相場、ギリシャがやばいと騒いでいる
2012-05-16




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株、「12羽のカラス」は反転上昇のシグナルか
蓄積する買いエネルギー
公開日時2012/5/15 15:33
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 欧州危機の再燃や世界的な景気減速懸念の高まりで株式相場の下げが長引いている。15日の東京株式市場で日経平均株価は8900円74銭で引け、2月3日以来約3カ月ぶりの安値水準を付けた。世界の投資家がリスク回避に動くほど、円高圧力というハンディキャップが加わる日本株は、他の国の株式以上に買いにくい面もある。市場参加者は「ギリシャのユーロ離脱観測が決着しない限り、買いには動けない」とお手上げ気味だ。だが株式相場の格言では「人の行く裏に道あり花の山」ともいう。値ごろ感の生まれた株式を拾おうと、買い場を探す投資家の目は確実に光っている。

■日経平均のチャートに異常現象

 日経平均のチャートに異変が生じている。その日の取引において、始値よりも終値が安かった場合、テクニカル分析の一種である「ローソク足」では「陰線」といってグラフ上に黒く塗りつぶした線を引く。日経平均は、この陰線が4月25日からきょうまで12日連続となった。

 陰線は市場の売り圧力の強さを示すとされる。リーマン・ショック直後の2008年9月26日〜10月10日に11日連続を記録したが、12日連続はバブル崩壊後の90年以降、20年以上さかのぼっても確認できない。ローソク足分析では、高値圏からの下げ相場で陰線が3本続くと、「三羽ガラス」といって売りサインを表す。陰線をカラスに例えれば、さしずめ今回のパターンは「12羽のカラス」ということになる。

 悲観派であれば、こうしたチャートの“異常現象”は、多くの投資家が予期していない悪材料を株式相場が織り込んでいるシグナルと受け止めるかもしれない。

 だが、4月25日から前日14日までの下げ相場を分析すると、市場では必ずしも売り圧力が強まっているとは言えない証拠がある。1日平均の東証1部の売買高は17億2000万株で日経平均が年初来高値を付けた3月27日直後の11日間(19億3000万株)と比べ1割減少した。大型連休期間という季節性を割り引いても「売りがかさんで下げた」というより「買いが少なく、小口の売りに押された」という印象が強い。しかも、今回の連続陰線が始まったのは、高値圏ではなく、下落した後の中段もみ合い後だ。SMBC日興証券の吉野豊チーフテクニカルアナリストはこうしたケースの場合、「陰の極を示唆する」とみる。

 市場では「売買高は相場のトレンド(方向)と一致する」といわれる。例えば下落局面の場合、売買高が増えながら下げれば、本格的な下げ相場。売買高を伴わずに下げた場合は、上げ相場の中の調整局面――という意味だ。こうした考え方に従えば、現在は上げ相場の調整局面と受け止めることも可能かもしれない。

■買い場探るヘッジファンドも

 ここ数年、同じ軌跡を描くように5月から9月にかけ下げ相場を繰り返す株式市場。だが、ゴールドマン・サックス証券のキャシー松井氏は「国内外の経済情勢や企業収益動向の改善など昨年と今年では異なる点が多い」と指摘。15日付の投資家向けリポートで「(秋まで下げが続いた)2011年の相場が再現される可能性は低い」と結論付けた。

 しかも株式市場への流入が見込まれる待機資金はたまっている可能性がある。米国やドイツ、英国、オランダなどでは長期国債の利回りが過去最低水準に下落しており、債券相場の上値余地(利回りの低下余地)は狭まっている。


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