「母屋ではおかゆを食べて節約しておるのに、離れではすき焼き食っておる」(塩川正十郎)−−特会でのすき焼きの宴はそれでもまだ続くのか、「独法・特会改革」スカタン社説集
2012-01-23


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<「独法・特会改革」社説&「すき焼き」記事>

朝日社説:独法・特会改革―組織いじりでは困る
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 野田政権が独立行政法人と特別会計の改革案をまとめた。

 国民に負担増を求める消費税増税の前に、行政のムダを大胆に削ることができるか。09年の政権交代後、「政治主導」を掲げて取り組んできた事業仕分けの集大成でもある。

 それなのに、がっかりするような中身だ。

 改革案では、独法を現在の102から65に減らす。7法人を廃止し、35の法人を12にまとめることが柱だ。業務の性格に沿って独法を分類し、きめ細かく管理していくという。

 17の特別会計では、公共事業を束ねる社会資本整備事業特会など四つを廃止し、一般会計に吸収する。農林水産省が所管する3特会を一つにまとめ、計11に減らす。

 しかし、これによって歳出をいくら削減するかという肝心な点が示されていない。

 102の独法は14万人近い常勤職員を抱え、国からの財政支出は計3兆円に達する。17特会の歳出総額は、各会計間の重複分を除いても約190兆円。一般会計の2倍を超える。

 その削減額がないと、ただの組織いじりに終わりかねない。事実、廃止後も別の形の法人に衣替えしたり、特会の中に新たに勘定を設けたりという例が盛り込まれている。統合も省庁をまたぐものは実質ゼロ。組織が肥大化する恐れすらある。

 様々な名目の資金が、独法を経由することで天下り官僚を養う原資になっていないか、という疑念も消えない。

 改革案作りの詰めの作業は、独法改革では民間人をメンバーとする会議が、特会では財務省が中心だった。独法や特会を所管する各省庁の抵抗を崩すのは容易ではない。

 「官」に目を光らせるのは、本来、政治の役割だ。公開の場で個別の事業をやり玉に挙げたり、政府の作業に注文をつけたりするだけでは不十分だ。

 民主党は昨年末、行政改革調査会を急ごしらえで立ち上げた。組織をあげて取り組んでもらわなければ困る。

 ところが、政治の側で行政改革に逆行する動きが目立つ。

 代表例が整備新幹線だろう。線路の建設とJRへの貸し付けを担当する独法が受け取っている貸付料を、未着工3区間の建設費に回すと、党と国土交通省が一体となって決めてしまった。特定財源を復活させるような発想である。

 岡田副総理・行革担当相は「やれることはやった」との認識を示した。とんでもない。やるべきことは山ほどある。


毎日社説:独立行政法人改革 「身を削った」とは言えぬ
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 政府自ら、ギリギリまで身を削った改革案とは言えまい。政府・民主党は現在102ある独立行政法人(独法)を統廃合し65以下に約4割削減する基本方針を決めた。

 国から年間3兆円の支出を受け「ムダの温床」とも指摘される独法だが廃止・国への移管や民営化は14法人にとどまり、支出削減額も示さないのでは本気度が伝わらない。与野党協議などを通じ、中身をしっかり練り直すべきだ。

 独法は行政の効率化に向け、民間手法の導入を目指し制度化された。ところが所管省からの天下りで多くの役職が占められたり、ファミリー企業と随意契約で割高な契約をしているような弊害が指摘されてきた。このため、民主党はさきの衆院選公約で全廃を含めた抜本的見直しを掲げていた。

 野田内閣は消費増税に向け、行革に積極姿勢を示す必要に迫られている。岡田克也副総理兼行革担当相が就任しどこまで踏み込むかが注目されたが、期待外れだった。純粋な廃止は「日本万国博覧会記念機構」など4法人だけで、民営化なども7法人どまりである。


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