イラン情勢が緊迫する中でガイトナー来日、中国に学ぶ「勝ち馬ポジション」修正の手口
2012-01-12


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1月11日、イランの首都テヘランでウラン濃縮施設のディレクターだった核科学者で大学教授のモスタファ・アフマディロシャン(32)らが車に仕掛けられた爆弾の爆発により死亡。イランでは2010年と2011年にも同様の手口で科学者3人が殺害される事件が発生している。

イランは米国やイスラエルが関与していると批判。これに対して両国とも関与を否定しているものの、米欧主要メディアからも関与を疑う記事多数。イスラエルの諜報機関モサド犯行説、さらにはモサドとイランの反体制派テロ組織MKO(ムジャヒディン・ハルク)のジョイント・オペレーション説まで浮上中。時を同じくしてモサドがイラン反体制派をリクルートしているとの仏フィガロ情報も話題を集めている。

緊張高まるイラン情勢。こうした中で本日12日、ガイトナー財務長官が野田首相や安住財務相らと会談予定。おそらく日本もイランからの原油輸入を大幅に削減することになるだろう。

ガイトナーが先に訪れていた中国は予測通りイラン追加制裁協力を拒否したもよう。日本メディアの見出しにも「拒否」、「難色」、「慎重」が並ぶ。しかし、これはあくまでも表面的な話。中国の二枚舌外交に騙されてはいけない。日本メディアは単純すぎる。

中国もすでにイラン産原油調達量を大幅削減中。米WSJは「中国のイラン産原油の購入が最近鈍化している理由が、米国に積極的に追随するという中国の政治的シグナルなのか、中国とイランのエネルギー企業との商業的な対立の結果なのかには確信を持てていない」と指摘。英FTはイランとの関係で中国に若干の変化ありと伝えている。

どうせまた日本では「米国が悪い。もっと悪いのはイスラエルだ。親日的なイランを見捨てて米国の圧力に屈する日本は最低だ」などと正義感溢れる人たちが熱く語り始めるだろう。こんな幼稚な意見は無視。緊急時に感情論は禁物。勝ち馬に乗ればいいだけ。インドも韓国も、さらには中国やロシアでさえ勝ち馬ポジションに修正する気配を見せている現実を直視しよう。


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▼日本の動き

イラン原油輸入、日本は大幅削減を 米が要求へ (画像引用)
制裁発動時、邦銀の決済容認の代わりに
2012/1/12 2:00
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 【ワシントン=矢沢俊樹】米政府は日本に対し、核開発を続けるイランからの原油輸入を大幅に削減するよう求める。米がイラン中央銀行と決済取引のある外国銀行に制裁を発動する際、邦銀を対象外とする代わりに原油取引の見直しを迫るとみられる。日本は原油の1割弱をイランから調達しており、石油元売りや商社はサウジアラビアなどからの代替輸入の準備に入った。

 ガイトナー財務長官が12日、都内での野田佳彦首相や安住淳財務相らとの会談で、イランへの圧力強化に向けて国際協調を目指す米議会・政府の考え方を伝える。同長官は訪日に先立って中国も訪問しており、米のイラン制裁が具体化してきた。イラン側も反発の姿勢を強めており、国際社会は緊迫してきた。

 同日にはイラン問題や欧州危機について「日米が緊密に協議」することを確認し、共同声明として公表する見通し。同長官は11日に中国の温家宝首相らに制裁への協力を求めたが、中国側は反対姿勢を示した。

 米では昨年末、イラン中銀と決済取引を持つ外国金融機関に制裁を加える条項を盛り込んだ「国防権限法」が発効。早ければ60日程度で発動される。原油取引などでイラン中銀と多額の決済を手掛けるメガバンクが米での金融事業停止に追い込まれる可能性もあり、制裁を回避するには原油輸入を停止せざるを得ない。


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