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首相官邸は明確に否定するが、政府内では検察への政治介入があったとの見方がくすぶる。那覇地検は釈放の理由のひとつに「日中関係への考慮」をあげた。だが、外交担当でもない検察がそんな判断を自ら下すとは、常識では考えられない。
「最後は首相の判断があったとのうわさを聞いた」「事実上の指揮権発動では」。政府関係者らはこうささやくが、詳細はヤブの中だ。
それでも菅直人首相がニューヨークに出発する22日の直前になって、政権内の空気がさらに緊迫したのは間違いないだろう。20日にフジタの日本人社員4人が拘束され、21日からはレアアース(希土類)の対日輸出が滞った。特に「フジタ社員の拘束は想定外だった」という。
中国側も誤算があった。外交筋によると、中国は当初、菅政権は最終的に船長を釈放し、起訴には持ち込まないのではないか、とみていた。民主党政権が自民党外交を対米追随と批判し、対中関係を重視する姿勢をみせていたためだ。
中国側の念頭には、(1)小沢一郎氏が幹事長当時に議員約140人を率いて訪中した(2)習近平国家副主席の昨年12月の訪日時、民主党政権は天皇陛下との会見を特例で実現してくれた――ことなどがあったようだ。
「何とか早期に釈放してもらえないか」。中国政府の関係者は民主党の有力議員を訪ね、働きかけた。2004年に中国人が尖閣諸島に違法上陸した際、政府が国外退去処分で済ませたことも計算にあっただろう。
ところが中国側は19日、読みが誤りだと感じ始めた。那覇地裁が船長の拘置期限の延長を認めたためだ。それから強硬路線にギアを入れ替え、閣僚級以上の交流停止などの措置を次々と打ち出していった。
中国側の圧力に押されるように、結局、日本は船長を釈放し、対立の落としどころを探りだした。それにもかかわらず、中国側が姿勢を軟化しない理由は何か。中国は今回の日中対立をもっと長期化させれば、日本をけん制できるだけでなく、日米同盟の離間を誘えると思い始めたのではないか。
クリントン米国務長官は23日の日米外相会談で、尖閣諸島も日米安保条約の適用対象だと明言した。一方、オバマ大統領は菅首相との会談で「中国との協力関係は重要だ」とも語り、日中対話を望む姿勢をにじませた。
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日中の緊張が深まれば、新たな紛争を抱え込みたくないオバマ政権と、日本のすき間風が強まる。中国がこう考えているとすれば、菅政権は先回りして米側との結束を強める必要がある。
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