朝日新聞:マイヤーズ元米統合参謀本部議長・インタビュー一問一答、対艦弾道ミサイル(ASBM)にも言及
2010-08-17



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マイヤーズ元米統合参謀本部議長・インタビュー一問一答
2010年8月17日1時9分
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 来日中のマイヤーズ元米統合参謀本部議長が16日、朝日新聞と行ったインタビューの主なやりとりは次の通り。

(聞き手・加藤洋一編集委員)

 ――韓国の哨戒艦が沈没した事件は、北朝鮮に対する抑止力が十分に効いていないことを示しているのでは。

 「弱い国家が、自らを強く見せようとした。日本や朝鮮半島に米軍が駐留しているということ、増援部隊を送り込むことができること、日本が米軍を進んで受け入れていることなどが、北朝鮮を阻止し、抑止力を効かせている。この抑止力がなければ、北朝鮮はさらに冒険主義に走ると思う」

 ――普天間問題の根本にあるのも「抑止力の適正水準は何か」という問いです。どうしたら分かるのでしょう。

 「それは分かりようがない。『こうすれば、結果としてこのような抑止力が得られる』という厳密な方程式はない。だから、最良と思うことをするしかない」

 「日本には(米海軍の)第7艦隊がいる。(第5空軍という)大規模な空軍のプレゼンスもある。陸上兵力は主に沖縄にいる海兵隊(第3海兵遠征軍)だ。沖縄の海兵隊はアジア太平洋地域で唯一、機動力をもった陸上部隊だ。朝鮮半島危機に対応できるし、日本の安全に影響を与えるほかの危機にも対応できる。人道支援や災害救援もできる。潜在的な敵からみれば、陸海空の3要素がそろっていなければ『日米は抑止力を安上がりに作ろうとしている』ということになる」

 「抑止力の大きな部分を占めるのが、同盟国として示す決意だ。同盟国としてどう語るかだ。その意味で、5月末の日米共同発表は有益だったと思う」

 ――哨戒艦の沈没のほか、北朝鮮は核実験や弾道ミサイルの発射を繰り返しています。日本を取り巻く安全保障環境は明らかに悪化しています。それで本当に北朝鮮を抑止しているといえるのでしょうか。あるいは日米両国はより大きな能力が必要なのでしょうか。

 「どのような時間軸をとるにしろ、答えはイエスだ。常により大きな能力が必要とされる。北朝鮮が最近、手に入れたのは長距離ミサイルだ。10年前にはミサイル防衛はそれほど重要ではなかったが、今は必要だ。敵対国が能力を向上させるのであれば、自国も向上させなければならない」

 「ミサイル防衛以外にも当てはまる。情報・監視・偵察(ISR)は、北朝鮮がミサイルの発射実験をする際に、探知するのに必要な能力だ。日本はこの分野で大した能力を持っていない。米国に頼らなければならない。しかし、将来の防衛計画でこのギャップを埋めることができる」

 「我々は能力を維持・向上させていかなければならない。それを怠ると、抑止力が減衰し始め、敵対国がそれに気づく」

 ――日本の防衛力と日本に駐留する米軍の軍事力の総和は、周辺環境が要求する以上の水準に達しているという見方があります。言い換えれば、安全保障のバランスシートで日本は黒字だという議論です。同意しますか。

 「それは面白い見方だが、アジア太平洋地域が安全保障の黒字状態にあるとは思わない。今この地域は、中国が軍事大国への歩みを始めたという重大な局面を迎えている。過去10年間にミサイル、航空機、海軍力、宇宙やサイバー空間での戦闘能力を高めている。しかもその多くは過去5年の間だ」

 「この地域が安保の黒字だといえるのは、中国の『意図』が完全に平和的だと信じられる場合に限られる。実際そうかも知れない。しかし我々にはっきり分かっているのは中国の『能力(軍事力)』の現状だけだ。中国が軍事力を増強し、この地域でより大きな影響力を持ちたいと表明するのを見るにつけ、それと均衡を取るため我々はしかるべき手を打たなければならないと考える」


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