波紋広がる菅首相「消費税10%」発言、その狙いは民主&自民の小沢大包囲網か
2010-06-21





朝日新聞が6月19、20の両日に実施した全国世論調査(電話)。菅内閣の支持率は、前回調査(12、13日)の59%から下落し、50%へ。

「消費税率10%」に言及した菅直人首相の発言には「評価しない」が50%で、「評価する」は39%。朝日は支持率下落の原因を消費増税に反対の人たちの離反を招いた結果と分析。

朝日調査では消費税引き上げそのものへの賛否は賛成46%、反対45%。読売新聞調査でも消費税率の10%への引き上げに言及したことを「評価する」と答えた人は48%、「評価しない」は44%。両調査から消費税引き上げやむなしと考えている人が多いことがわかる。

しかし、消費税引き上げ絶対反対を貫く人も多い。それなのになぜ菅首相は言及したのか。しかも、「消費税率は自民党が提案した10%を参考にする」とまで語ったことは自民への接近に映る。自民に歩み寄るかのような「消費税10%」発言は参院選後でもよかったはず。「なぜこの時期に」との疑問も。

そこに何やら小沢一郎の影あり。消費税増税に慎重な姿勢を示してきたのが小沢。小沢と距離を置く前原国土交通大臣ら「七奉行」に対抗して、「新七奉行の会(高嶋は「七人の侍」がお好み)」が会合を開いたのは6月17日夜。

小沢に近い輿石東参議院議員会長と高嶋良充参議院幹事長が都内の料理屋に集めたのは、樽床伸二国対委員長、松本剛明衆院議院運営委員長、細野豪志幹事長代理ら中堅・若手議員7人。

会合の後、今期での引退が決まっている高嶋は菅首相の「消費税10%」発言に対して「期限を切るとか何%引き上げるとか言ったのならば勇み足だ。選挙に悪影響を及ぼす」と批判。消費税増税に慎重な姿勢を示す小沢に同調する考えを示した。

こうした動きを受けて時事は「非小沢VS親小沢の様相=菅首相の消費税発言が波紋」と題する記事を配信し、民主党内で亀裂が生じていると指摘。小沢に近い山田正彦農林水産相や原口一博総務相らの「無駄をなくすことが大前提だ」などの発言を紹介しながら、「非小沢」対「親小沢」の構図が際立っていると書いている。

さらに時事は菅首相の「消費税10%」発言は「『脱小沢』の総仕上げ」との見方も党内にはあるとしながら、「増税に積極姿勢を示すことを事前に仙谷由人官房長官や玄葉光一郎政調会長ら限られた人物にだけ伝えていた」と。実は原口には敢えて伝えていなかったとの情報も飛び込んできた。

実際のところ、「非小沢VS親小沢」は「非小沢(民主+自民)VS親小沢」の様相。民主と自民が仕掛ける小沢大包囲網にも見えてくる。

ギリシャ問題で財政再建に前のめりになった菅直人。そこへ自民が消費税10%という餌を撒いた。パクリと食らいついたのは菅首相。何やら参院選後の小沢の動きを睨んだ思惑が見え隠れ。小沢の動き次第では民主&自民の大連立もありと見る。

そして大いに気になるのが参院選前後に仕掛けられた爆弾。検察審査会の2度目の審査が自動的に始まるのがこの時期。ここで再び「起訴相当」の議決が出れば、小沢は強制起訴される。この爆弾に民主もビクビク。小沢グループの結束も大揺れ。当然政界大再編の引き金になることも。

強制起訴になった場合、小沢は政界から去るのか。それともまたもやタタリガミとなって、離党という選択肢もあるのか。社民党、国民新党に続く最後の仕上げは小沢斬りという大胆シナリオ。うまい具合に斬りたい連中が一塊になってきた。

背後に蠢くのは日本を根底から支えてきた穏健な伝統保守の重鎮たち。小沢は彼らを怒らせたのだから、当然の報いが待っている。表も裏も総動員の小沢大包囲網。成功するかどうかはわからないが、誰かがそのシナリオを描いているに違いない。


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