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「ゼネラル・モーターズ(GM)の運転資金が年末に底をつくらしい」
「いや、バラク・オバマ次期大統領が正式就任する2009年1月20日までは大丈夫だろう」
「実質破綻している会社に500億ドルの資金をつぎ込むなんて論外だ」
「いやいや、これだけ経済が悪化している時に、GMが破綻すると大変。破産を1〜2年先延ばしするだけでも500億ドルの価値がある」
「米国の自動車メーカーが生まれ変わる絶好のチャンスだ。デトロイト・ビッグスリーをビッグツーにして、現経営陣を総入れ替えし、全米自動車労組(UAW)との契約も根本的に見直せばいい」
「しかし、そんな建て直しができるスーパーマンのような経営者がどこにいるんだ?」
日経ビジネスでJ・W・チャイ氏がビッグスリーの現状をこんな風に描いています。
チャイ氏はGMの今後の身の振り方として、「米連邦破産法11条(チャプター11)の適用を申請する確率が50%。政府が援助に乗り出して、とりあえず急場をしのぐ確率が50%」と見ているようです。
今回の大統領選でUAWに大変お世話になったのがオバマ次期大統領。
表向きはビッグスリー救済をアピールするしかありません。
私は11月13日の記事で、
オバマとて「どうせ破綻するならブッシュ政権下の方がありがたい」との思惑が働いてもおかしくないと指摘。
表のオバマと裏のオバマがいる。
ビッグスリーのトップが専用ジェット機で移動していることを「音痴」だと批判したのは、
表と裏が交差している表れでしょう。
裏のオバマにとって心強い味方となっているのが救済策に反対している共和党上院議員。
その急先鋒になっているのがリチャード・シェルビー上院議員。
シェルビーはビッグスリーを「恐竜」に例えました。
もはや絶滅の危機に瀕していると。
ニューヨーク・タイムズ紙までもが同調します。
同紙経済記者のアンドリュー・ソーキンはこう主張しました。
「政府はGMをチャプター11条(米連邦破産法11条)に導くべきだ」と。
こうした議論の中でもう一匹の恐竜の姿が浮き彫りになってきました。
その恐竜とは全米自動車労組=UAWのこと。
共和党からすれば、民主党とUAWを切り離したい。
民主党の集票マシーンをぶっ壊そうとたくらんでいる。
一方で表向きは「UAWを助ける」と訴える民主党。
しかし、自動車産業の再建にはUAWの存在が足かせになるとわかっている。
オバマは結局ビッグスリーとUAWの創造的破壊をやるしかない。
そのためには共和党の救済策反対組を利用して、
ブッシュ政権下で「GMを破産に導いてあげる」という方法もあります。
まずはGM破産をブッシュ政権の責任に押し付ける。
そして、オバマは救世主として登場。
ビッグスリーとUAWの創造的破壊に取り組む。
やはり、これがベストのシナリオでしょう。
それではいつGMをチャプター11条に導いてあげるのがいいのか。
クリスマス商戦への影響を考えれば、
年末から来年1月20日までの間になるのでしょう。
それまで救済案の採決をモタモタすればいいのです。
恐竜4匹のラスト・クリスマスになるのでしょうか?
それでは、ビッグスリー救済策阻止に動いている共和党上院議員を見ていきましょう。
シェルビーの他にジェフ・セッションズ、ジム・デミント、ジョン・コーニン、ボブ・コーカーらがいます。
デミントは金融安定化法案にも「おいおい、米国を社会主義化するつもりかよ」と批判した人物。
残る議員の地元を見ていくと、ビッグスリー軽視の理由がわかります。
理由は州内に海外自動車メーカーの工場があるから。
ビッグスリーが破産しても困らないという事情がある。
実際には欧州の自動車メーカーの工場もあるのですが、
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